徳島県で映像・写真・執筆などのクリエイティブ業を営んでおります、DAISUKE KOBAYASHIです🎥
今日はデイミアン・チャゼル監督・脚本の映画『バビロン』について書いてみることにします。
デイミアン・チャゼル監督・脚本映画といえば『ラ・ラ・ランド』が有名ですが、前作のドラマーには胸熱な『セッション』は一度観たら忘れられないスリリングな展開となっており、今まで観たことのないベクトルの映画としてボクの印象に残っています。
そんなチャゼル監督のバビロンは、映画館で観たいと思いながら観ず、100円セールで配信でされていた時にレンタルするもそれも観ず…で、先日また100円セールだったのでレンタルした配信をようやく観れた!という感じです。
で、観た感想を率直に書くなら、全く観る価値のないやらかしちゃった感満載のズッコケ映画でした。3時間と無駄に長いし。冒頭のデビルマン的地獄絵図からロゴ登場までで既にズッコケ感満載だったので、流し観程度でしか観ることができませんでしたが(観る気が起きませんでしたが)、最初から最後まで見事にズッコケた映画だったなーとボクは感じています。
…というのも、全体を通して酷かったのはブラックジョーク?的なコメディ要素。人の死を無駄に、そして無意味に描き、それをコメディとして扱った部分は観ていて本当に冷めるし、反骨心をクソとかゲロで表現する痛さ。黒人を中心とした差別に対する監督の浅はかさがモロに露出しており、終いには「こいつ(チャゼル監督)、人として大丈夫か?」と思い始めてしまう始末でした。
ボクは『セッション』では今まで観たことのない引っくりかえるスリリングな展開に、観終わった後はなんともいえない感情になり、感動することはありませんでしたが「すごい映画を観た!」と新しい感覚を得ることが出来ましたし、その後の『ラ・ラ・ランド』では素直にハッピーエンドとはいかない展開にモヤモヤしながらも、二人に感情移入する自分がいて胸熱で好きな映画として心に残っていました。
が!このバビロンを観たことで、過去二本の映画を観た後に残ったちょっとした違和感の謎が解けたように思います。というのも、このバビロン。『セッション』と『ラ・ラ・ランド』ふたつを見事に足して二で割ったような映画となっていまして、両作品ともどこか無造作に非情さが散りばめられています。で、その非情さが違和感の謎だったのですがバビロンを観て納得。この非情さは演出というより天然でやっちゃってんだなと。こういう監督なんだなーとはじめて理解することができたのです。
バビロンのあらすじは舞台はハリウッド。1920年代のサイレント映画時代でスターの座にいるジャック。スターになりたい!と夢を叶えることになるネリー。ハリウッドに夢を抱いメキシコから来たマニーの三人の群像劇。と思いきや途中からトランペット奏者として登場してくる黒人のシドニーの四人の群像劇となっており、トーキー映画の波によって各人の物語が展開していきます。
こうして書くと非常に面白そうですし、プロット自体はめちゃくちゃ面白いとボクは感じています。が、この群像劇になんの意味も感じられなかったし、もう描いていることがめちゃくちゃでチグハグです…というか過去のハリウッドを題材に普遍的な「何か」が描かれるのかと思いきや、クソやゲロにまみれた混沌とした世界だったり、人が死んでも作品を優先する姿勢だったり、作品のためなら差別も問わない世界を描いている一方で、「やっぱり映画って良いよね(泣)!」といった『ラ・ラ・ランド』よろしくの謎の視点が盛り込まれており、正直『?』以外の何ものでもないなとボクは観ていて感じました。
ハリウッドの光と闇を描こうとしたような気もしますし、わからなくもない流れでしたが、なんというかこの監督は映画が好きなのか嫌いなのか?音楽も好きなのか嫌いなのか?ハリウッドになにか恨みでもあるのかと思うほどもうチグハグでめちゃくちゃなので、光の部分に全く説得力がないのです。なので余計にコメディ要素満載の闇側が際だってました。
そして明らかにタランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』の影響を受けたと思われる部分も多々ありましたが、天才若手監督と呼ばれたチャゼルはタランティーノの足元にも及ばなかったなーといった印象です。というかタランティーノの凄さを改めて感じました。すげータランティーノ!
と、偉そうに書いてきましたが、この規模の映画を撮れること自体相当すごいことなので、チャゼル監督はちょっとスケールデカくし過ぎてしまったのかもしれませんね。このバビロンの構想、相当温めていたようですし。冷静に考えるとよく撮ったなというレベルです。
それに、こういっためちゃくちゃなチグハグさはボクのような小さな規模で映像を作っていると大いにありまして、ある種非常に参考になった作品ですし、ボクもバビロンのようなチグハグさを十分に持ち合わせているなーと俯瞰して感じています。
唯一好きなシーンは、エレノアがジャックに映画の普遍性を語るところでした。それについてもっともっと掘ってほしかったよ!というのと、フィルム撮影なのでめちゃ綺麗!フィルムグレインがいい感じだし色が最高。あと音楽センスも抜群なんですが…
チャゼルは脚本書かずに監督だけしてれば良い!と誰かが言ってました。納得!
Comments by daisuke kobayashi
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