はじめに
過去の出来事、技術、思想を未来の視点から再解釈するために書き残すブログメディア Hyperpast Journal(ハイパーパストジャーナル)。書き手は映像クリエイターのDAISUKE KOBAYASHIです。
#05では糖質に替わる代替エネルギーとして近年注目されている「ケトン体」について、僕が学んだことを書いてきたいと思います。
近年、ケトジェニックダイエットや断食(ファスティング)が注目を集める中で、ケトン体という言葉を耳にする機会が増えました。ケトン体は、糖質を抑えた食事をすることで脂肪から作られるエネルギー源の一種であり、脳や筋肉の代替燃料として機能します。
しかし、「ケトン体=危険」と言われたり、その一方で「ケトン体はダイエットに良い」といった、さまざまな情報が飛び交い、ケトン体という存在が正義なのか悪なのか分かりにくい部分が非常にあります。
この記事では、ケトン体の基本的な概要を網羅し、ケトン体についての理解を読者の皆さんと僕自身も同時に深めたいと思います。
ちなみに、ヘルスラーニングジャーナルとは、40代の僕が学んだ最新の健康・栄養に関する知識を整理し、記事化して発信していくシリーズです。
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従来の栄養学から分子栄養学、そして精密栄養学へと進化している現在の流れを深掘りしながら進めています。
なぜ「ヘルスラーニングジャーナル」を書くのか?
健康に関する情報は日々アップデートされており、従来の「カロリー計算」「バランスの良い食事」ではカバーしきれないほど、多くの研究が進んでいます。特に個々の遺伝情報や腸内環境に基づいた「精密栄養学」などの新しい概念では、これからの健康管理に大きな影響と可能性を与える分野です。いわば人類の健康のためのあたらしい未来です。
僕自身が最前列で学びながら、それを整理し、実践し、記事にまとめることで、読者の皆さんにも有益な情報を共有できればと考えているのです。
そして、精密栄養学を学び、取り入れることで、ウイルス対策や毎日なんだかパッとしないブレインフォグ、倦怠感、片頭痛、謎の疲れ、眠気などといった、病院に行っても「異常なし」と診断されてしまうような症状を改善できる可能性を、僕は持っていると感じています。
ぜひ、この機会に皆さんも僕と一緒に学びましょう!ではいってみましょう!
ケトン体とは?
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先ず、ケトン体とはいったいなにか?ケトン体とは肝臓で脂肪酸が分解されることで作られる代謝物の総称で、3種類が存在します。
通常、僕たちの体はブドウ糖を主なエネルギー源として活用していますが、断食や糖質制限等で糖質が不足した時は、脂肪をエネルギー源としてつかいはじめます。その過程で生じる副産物がケトン体という化合物なのです。
ケトン体の3種類は…
- アセト酢酸:最初に生成されるケトン体。ケトン基を持っている。
- β-ヒドロキシ酪酸:エネルギー供給に最も適したケトン体で、血液中で多く存在するヒドロキシ基。
- アセトン:揮発性があり、エネルギーとしては利用されない。
があり、アセト酢酸が最初に作られ、β-ヒドロキシ酪酸やアセトンに変換されます。β-ヒドロキシ酪酸は脳や筋肉で効率的にエネルギーとして利用される、重要なエネルギー源であり、血中で最も多く存在します。アセトンは余分なケトン体を呼気や尿として排出します。
これらが体内でバランスよく働いているのがケトン体なのです。
代替エネルギー源のケトン体
糖質を制限すると、体は脂肪をエネルギー源として使い始めます。このとき、脂肪酸が分解され、肝臓でケトン体が生成されるプロセスを「ケトーシス」と呼びます。これは、飢餓状態や断食時にも起こる自然な代謝機能です。ケトン体は最大60%のエネルギーを使います。
この過程で重要な役割を果たすのがアセチルコエンザイムA(Acetyl-CoA)です。脂肪酸がβ酸化によって分解されるとアセチルCoAが生成されます。通常、アセチルCoAはクエン酸回路(TCAサイクル)でエネルギーとして利用されますが、糖質が不足している場合、余剰のアセチルCoAが肝臓でケトン体に変換されます。これにより、脳や筋肉がエネルギーを確保できるようになります。
ケトン体の健康効果
では、ケトン体を代替エネルギーとして使うことの健康メリットは…
脂肪燃焼を促進し、体脂肪を減らす(ダイエット・減量)
血糖値の安定化(糖尿病予防・インスリン抵抗性の改善)
持久力向上(マラソン・トレイルランニングなどの持久系スポーツ)
脳機能の向上(認知症予防・記憶力向上・集中力アップ)
抗炎症作用(慢性炎症・自己免疫疾患の改善)
などがありますが、具体的にはケトン体には抗酸化作用の働きがあり、酸化ストレスを減少させて、細胞の老化を防ぎ、ミトコンドリアの機能が向上し、細胞のダメージを抑制する効果が期待できます。
また、ケトン体のひとつである、β-ヒドロキシ酪酸は抗炎症作用があり、体内で炎症を引き起こす物質の働きを抑制して、慢性的な炎症や自己疾患のリスクを軽減すると言われています。
がん治療の応用にも可能性がある点にも注目が集まっています。がん細胞は主にブドウ糖をエネルギー源とするため、糖質を制限し、ケトン体優位な体質にすることで、がん細胞の成長を抑制できる可能性があると考えられています。
最新の研究結果では、ケトン体は脳の神経細胞のエネルギー代謝を改善し、アルツハイマー病やパーキンソン病の進行を遅らせる可能性があるとも示唆されています。
ケトン体を生成する方法
ケトン体を生成していくには以下の方法があります。
- ファスティング(断食)によるケトン体増加
- インターミッテント・ファスティング(16時間断食など)
- ケトジェニックダイエット(高脂質・低炭水化物食)
- 推奨食品(アボカド、ナッツ、ココナッツオイル、グラスフェッドバター)
- 避けるべき食品(砂糖、白米、パン、パスタ)
ファスティングで体が糖質を使い果たすと、糖質の替わりに脂肪を分解し、ケトン体を生成します。ファスティング開始から48時間経過すると、ケトン体の生成が顕著に増加することが知られています。
またケトジェニックダイエットも効果的です。糖質を1日50g以下などといった具合に極端に制限することでケトン体が生成されます。
その他には、MCTオイルやココナッツオイルに含まれている中鎖脂肪酸といった脂質を摂ることで、効率的に肝臓でケトン体が生成されると言われています。
短時間でケトン体の濃度を上げ、エネルギーの安定供給をサポートする、エクソジェニックケトンをサプリなどから摂取することも手段のひとつです。
ケトン体における注意点
ケトン体生成を代替エネルギーとして使う際の注意点もあります。
ケトアシドーシスのリスク
体内で過剰にケトン体が生成されると、血液が酸性化(ケトアシドーシス)するリスクがあります。症状としては、極端な口渇、頻尿、吐き気、呼吸困難などがあり、放置すると命に関わるため注意が必要です。
特に糖尿病患者やインスリン分泌が正常に行われない方はケトン体生成には注意が必要です。こうした背景からあたらしい健康知識をアップデートしていない医療従事者はケトン体を悪者として扱っているように思います。
栄養バランスの懸念
長期的にケトン体を利用する場合は栄養バランスが偏りやすくなります。食物繊維やミネラル、ビタミンなどが不足しやすくなるため、適切な栄養補給が不可欠になります。
ケトフル(Keto Flu)の発生
ケトン体を効率的に利用できるかどうかは個人差があります。利用する際、一時的に頭痛、倦怠感、吐き気、集中力低下などの「ケトフル(Keto Flu)」と呼ばれる症状が起こることがあります。これは、体が糖質代謝から脂肪代謝へ切り替わる過程で生じる一時的な適応反応です。適切な水分補給と電解質(ナトリウム・カリウム・マグネシウム)の摂取が重要です。
まとめ
まとめますとケトン体とは、糖質を抑えた食事で脂肪から作られる代替エネルギー源で、脳や筋肉の燃料になります。主にアセト酢酸、β-ヒドロキシ酪酸、アセトンの3種類があり、特にβ-ヒドロキシ酪酸が効率的に利用されます。
ケトン体は脂肪燃焼促進、血糖値安定化、持久力向上、脳機能改善、抗炎症作用などの効果が期待されています。特に抗酸化作用が細胞の老化を防ぎ、アルツハイマー病やがん治療の可能性にも注目されています。
ケトン体の生成方法は、ファスティング(断食)、ケトジェニックダイエット(低糖質・高脂質食)、MCTオイル摂取などが有効です。
ケトン体生成には注意点もあり、過剰なケトン体生成はケトアシドーシスのリスクがあり、特に糖尿病患者は注意が必要。また、栄養バランスの偏りや「ケトフル」と呼ばれる一時的な体調不良も起こる可能性があります。
…といった具合に、今回はケトン体について書いてみました。僕自身ケトン体優位な体を作りたいと思いながらも、糖質を摂らない生活を送ることが非常に難しく、なかなかケトン体を有効に使えるようになりません。
こうして記事を書いていくうちに改めてケトン体優位にしたいという想いが強くなってきましたので、まずは16時間ファスティングを導入し、ゆるく実践していきたいと思いましたので、番外編としてそちらも記事化していこうと思います。40代からの健康実践として現在学んでいることを取り入れ、ファスティングを中心とした僕の実践を基にし、どのような体調変化があったか?や、そもそも僕の体調や健康の現在地などをお伝えし、読者の皆さんの健康への理解を深めていきたいと思います!
そして記事を書いていて疑問に思ったこと。それは、なぜ人々はそもそも糖質中心の生活を送るようになったのか?また、糖質中心の生活ではだめなの?などといったことです。
ですので、次回#06では、糖質を摂るということはどういうことなのか?について書いていきたいと思います!
続きます!
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Comments by daisuke kobayashi
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