徳島県で映像・写真・執筆などのクリエイティブ業を営んでおります、DAISUKE KOBAYASHIです👾

先日、待望の『エイリアン:ロムルス』を観てきましたのでそれについて。

エイリアンシリーズは大好物でして、以前こんなこと書きました。

こちらは如何に僕がエイリアン好きかを書いた記事になりますが、なにげにエイリアンを映画館に観に行くのははじめてでして、見終わった後はなんとも言えない爽快感でした。いやーロムルス最高でした。

で、映画館に行っておきながら、実は僕は今作にはあまり期待はしていませんでした。というのも、おそらく僕が好きなタイプのエイリアンシリーズではないと思っていたからです。

僕が好きなエイリアンは、まるでブレードランナーと交わっていくかのようなリドリー・スコット監督の”ソレ”なのですが、前情報ではホラー要素強めと、僕の期待しているエイリアンではないなと感じていたし、なんなら「コヴェナントの続きが観たいんだ!」と、今作に対してやや否定的ですらありました。

しかし公開されると期待せずにはいられなくなり、観ずにはいられなくなり、結果観に行ったといった感じなのです。

内容はリドリー・スコットの”ソレ”ではありませんでしたが、本当に本当に最高でした!今回監督を務めたのは『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス。なんというか、この監督のエイリアン熱というべきか?1978年生まれということもあり、相当エイリアンが好きでそれを観て育ってきたんだなと感じるほど、エイリアンオタク感が今作に反映されており、今までのエイリアンシリーズを絶妙に上手く網羅した、完全なるオマージュ作品となっているのです。

そうしたオマージュ一辺倒と思いきや、新しさというか2024年らしい「現代っぽさ」もしっかりと反映されており(若者の憤りやアンドロイドが黒人だったりと)、このあたりを非常に良いバランスで成立させているフェデ・アルバレス監督にはもう感服!参りました!端的に書くなら、めちゃくちゃ頭の良いエイリアンオタクの秀才が映画を作ったらこうなった!のが今作と言っても良いでしょう。

さて、そうしたオマージュ部分にも触れたいのですが、正直オマージュが多すぎてどこから触れるべきか迷ってしまうほどですのでオマージュ部分は書かずに置きますが、全体を俯瞰して観たときのオマージュ部分を書くなら、先ず冒頭からめっちゃエイリアン1。

演出からデザインから寄りのショット、そしてサウンドデザインから何から何までもうものすごいエイリアン1の再現度となっていまして冒頭から驚きました。

冒頭の次に登場するディストピア感のある惑星やそこに居る人々はエイリアン3っぽさを感じつつ(ここで犯罪をした奴らが3の惑星に行くのか?などと想像が出来たり)、映画中盤のプロットを説明する必要がある部分&次回作への伏線部分ではプロメテウスに突入し、そこからラストに向かってアクションシークエンスに突入してきたなと思ったら一気にエイリアン2に!

そして最後はまさかのエイリアン4で〆る!と、もうエイリアン好きにとっては胸熱すぎる展開が盛り沢山でした。いやーエンジニアと人間とエイリアンのミクスチャー生物オフスプリングは最高に気持ち悪かったよ!

そしてすごいのが盛り沢山にも関わらず、物語のつじつまがおそらくすべて合っているため、正直ツッコミどころがなく、尚且つおそらくエイリアン新参者が観ても十分に楽しめる作品に仕上がっている&意味もなんとなく分かるように設計されているし、更には自作へと繋がるエンディングと、もうこれ以上ないぐらいの素晴らしい映画でした。

エイリアン2のリプリーの名セリフ「Get Away From Her, You Bitch!」を今作のアンドロイド、アンディが主役のレインを助けるために真似るシーンも登場しました。エイリアンをBitch(アバズレ)と呼ぶのに少し違和感がありましたが、よく考えてみればアンドロイド嫌いのビヨンにアンディはBitch呼ばわりされるほど罵倒されており、アンディはその罵倒から引用し、エイリアンに対し使ったことを考えるとすっごい自然なんですよね。

今作はこうした細かなオマージュからの設定が山のようにあり、そのつじつまがすべて合っているため、後で思い返してみても「?」になることなく、ホラー映画なのになぜか爽快感を感じられる映画に仕上がっているのです。

ハラハラした!などの感想を見かけることがありますが、僕はハラハラ要素よりもオマージュ要素に2時間胸熱になっていました。

そのときの楽しみ方は「ウォーリーを探せ」で細かな設定の部分を探し当てた時の感覚にも近いかもしれません。

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あまりにも優秀な仕上がりなため、「?」な部分がなく、逆に多いほうがカルト化するため作品としてはそちらの方が僕は好みなのですが、たまにはこんな満点級な映画も良いかもしれませんね。

僕は文句なしに100点でした。こんな映画、逆に珍しいんじゃないかな。

興行収入が相当良いようなので、この時点で次回作の制作は決定で間違いないと思われます。次回作はレイン(Human Being)とアンディ(Android)の関係性の成長、そしてあの”黒い液体”についての言及に期待したいと思います!