こんにちは。
限界集落に住む映像クリエイターのDAISUKE KOBAYASHIです。
先日、映画『ノマドランド』を観ました。
気になっていた映画のひとつで、映画館に足を運んで観る価値のある映画と感じていたので、これは是非映画館で!と思っていたのですが、徳島県に移住をしてからというもの、映画館で映画を観る習慣が全くなくなってしまったため、見逃してしまっていました。
というのも家から映画館は車で一時間半なのです。これではなかなか行く気になれない。愛知県に住んでいた時は車で十分。よくナイトショーで一人で観に行っていたのは懐かしい話。
…で、オンデマンドな昨今、映画館に行きそびれてもAmazonなどのサービスですぐにレンタルが開始されるんですよね。
ということで、早速レンタルをして観てみました。
主演にはコーエン兄弟監督の『ファーゴ』のフランシス・マクドーマンド。ファーゴを観た時にマクドーマンドを初めて観たのですが、まあなんとも素晴らしい存在感。一度観たら忘れられなくなり、そして大ファンになり、それ以降彼女が出る映画は必ず観るようにしています。最近だと『スリー・ビルボード』は痺れましたね。
そして主演に加えてどうやら製作にもマクドーマンドが関わっているようです。
監督は『ザ・ライダー』のクロエ・ジャオ。こちらはまだ未視聴なので早くみなくては。女性でまだ三十代のようで、アジア系の方のようです。『パラサイト』もそうですが、俯瞰的に考えることで見えてくる何かを物語にすることが響く時代なのでしょうね。
自然光で撮られた美しい映像
先ず、観て最初に感じたのは映像の美しさ。おそらくは全編自然光のみで撮影がされたと思われるカットの数々。
古くからある美しい自然と、現代のテクノロジーの融合の素晴らしさを感じずにはいられません。
ボク自身、カメラを扱ったお仕事をしているため、そうした美しさには異常に反応をしてしまいますし、最初の感想は絶対にそれになってしまうのですが、自然光ほど階調が豊かで美しいものはありません。
そうした美しさを観ているだけでも、ボクは十分に観る価値はあった映画だなと、今もう一度レンタル出来る時間を気にしながらこの記事を書いています。
手持ち&広角な映像
また、撮影方法も非常に面白いと感じました。
クレーンなどの大掛かりな機材はおそらく一切なく(ドローンショットも)、ジンバルでの手持ち撮影と広角気味のレンズを多用していると思われるカットも、映像の美しさや観ている側のリアルさを加速させているのではないかと感じました。
これはアレハンドロ・ゴンザレス・イニャリトゥ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の『レヴェナント』で撮影監督を務めたエマニュエル・ルベツキの撮影方法と似ていることもあり、観ているだけでなんだか嬉しくなりました。
撮影監督を調べてみるとジョシュア・ジェームズ・リチャーズという方。『ザ・ライダー』の撮影も務めたようで、これから映画界を撮影の中心人物になるに違いないと感じましたね。
2008年の経営破綻後のアメリカの物語
映画の内容は2008年にサブプライムローンが発端となって起きたリーマンショック後のアメリカを描いたロードムービー。
夫を病気で失い、リーマンショックの影響によって家も失ってしまったことで、車上生活を余儀なくされながらも、誇り高く人生をサバイブしていく美しい内容となっている。
ボクはこの映画を観る前には、映画ならではの分かりやすい感動だとか、分かりやすいエンディングが待っているのだと思っていたけれど、それとは全く違った。とにかく淡々としており、なおかつ詩的だ。
淡々と進む物語は観る人によっては退屈に映るのだろうが、その描写はとにかくリアル。心にズシンとくるシーンばかりで苦しくもあるがとにかく美しい。
また、直接映画のテーマとしては出てきませんが、トランプ政権だった時代やラストベルト、リバタリアンなども無視出来ない内容となっており、ここ十年ぐらいのアメリカのリアルを感じることが出来る数少ない映画なのではないでしょうか?
映画のエンディングはハッピーエンドであることが、良い興行成績を保つための常套手段として業界では常識ではありますが、ボクはハッピーエンドでもバッドエンドでもない、答えの無い映画にいつも惹かれてしまいます。
この映画のエンディングも正にそれで、答えはないと思ったし、もし答えがあるとしたらそれは自分次第なのだとも思うのです。
Comments by daisuke kobayashi
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VoightLander 単焦点レンズが欲しい。
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